渋谷スカウトマン六本木(3)
何気なく声を掛けた。
どんな感じかまったく覚えていないが女の子は立ち止まってくれたのだ。
わたしは必死で一生懸命に説明した。彼女は探るような目で見つめており、小さく頷くだけだった。
とにかくお店に来て話をしようという事でさっそく部長に電話すると、この人もどこで何をしているかわからないが10分ほどで現れた。この時の電話の会話は覚えている。とにかくでかした、良くやった、かわいいか?という事を興奮ぎみで言っていた。
タクシーを拾って3人で六本木に向かった。
彼女は19歳の東北出身で北海道で住んでいたらしいが、なんとなく東京に来たようだ。まだ1ヶ月も経ってないようで何か仕事を探していたようだった。あとでわかった事だが東京にはこういった家出じゃないけど地方からぶらっとやってくる女の子が多いのだ。
タクシーの中で東京の電車の路線図を彼女に渡した。彼女は新宿御苑前の友達のマンションに居候しているようだ。
お店に到着するとわたしも一緒に面接が始まった。
彼女は経験がないようだが、ういういしくていいねぇとか部長は調子いい事を言っている。わたしは部長に呼ばれて席を立ち、耳元で何度も良くやったと言われて時給は「さんまるさんまるさんごー」だけどいいだろと言われた。時間帯によって時給が変わるのだ。遅い方が高くなる。帰りは車があるらしいが1回500円取られる、衣装代も1日1000円取られるし、税金も10か20%取られるので女の子も頑張らないと稼げない。その代わり指名料や同伴とかで稼げるのだ。
お店としてはさっそく即日から働いて欲しかったが彼女は明日からが良いという。こういうのはまずい。気が変わる可能性があるからだ。
それで彼女の源氏名をどうするか。深田恭子に似ているので「今日子」が良いとマネージャーが言い出して全員一致した。今日子も嬉しそうだった。
とにかく明日からになってしまったので地下鉄まで送った。もちろん明日の約束をしっかりした。こういうやりとりは部長に教えてもらったのだ。
この話はすぐに仲間に知れ渡った。
次の日、わたしたちは大戸屋で飯を食ってから一緒に出勤した。同伴みたいだがそれが安い大戸屋だから情けないが金がないのだ。それでも彼女は笑顔でどうもわたしを信用してくれているようだ。調子に乗って今度、彼女が1週間以上働いてくれれば金が入るからそれで旨い飯をおごると言ってしまった。マリアは1週間以上連れてきた女の子が働かないとバックが入らないのだ。だからなんとしてでも1週間はこちらも気を遣って頑張らないといけない。
その事があってわたしは仕事に私服でなくてスーツを着るようになった。毎日お店に様子を見にいったが彼女はお酒が好きなようでほろ酔い気分でお客の肩に寄り添ったりしていた。そこでなんか嫌な気分になってしまっていた。
コトーさんは頻繁にわたしを評価してくれるし、彼女がすごい頑張っていると報告してくれる。島本君は相変わらずまだ捕まえてない。
そうこうする内にミニマムの1週間が経過していた。
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2008年06月07日 気になるワードを詳しく検索!